生計の概要の様式を前にして、ペンが止まる方は多いです。「月収は額面?手取り?」「支出の合計が収入とぴったり合わない」「年収300万円ないとダメって本当?」。この記事では、その1を架空の3人家族の記入例で埋め、その2は資産欄ごとに書き方を説明します。
先に一つだけ。国籍法の生計の条件(第5条第1項第4号)にも、法務省の国籍Q&A(Q9)にも、年収の金額は書かれていません。Q9は「生計を一つにする親族単位で判断」すると説明しています。本人の収入だけでなく、家族全体で安定して暮らせるかが見られます。もちろん、金額が書いていないことは「いくらでも通る」という意味ではありません。
生計の概要は2枚:その1は「毎月のお金」、その2は「持っている財産」
東京法務局の「帰化相談(初回相談)を希望される方へ」は、相談のときに生計の概要(その1)と(その2)の両方を持ってくるよう案内しています。帰化許可申請のてびきの様式には、次の注意書きがあります。
- 世帯を同じくする家族ごとに作る
- 月収は、申請する月の前月分の「手取り額」を書く(給与明細をもとに)
- 収入の種目には、給与・事業収入・年金などの別を書く
- 別に暮らす親族からの仕送りで生活している場合は、送金額と仕送人の名前・関係を書く
- 収入の合計と支出の合計は一致させる
記入例:共働き3人家族の「その1」
会社員の王さん、パートの李さん、小学生の子ども1人の世帯です。数字はすべて説明用の例です。
| 欄 | 記入する内容 | 金額(円) |
|---|---|---|
| 収入 | 王(給料・株式会社○○) | 245,000 |
| 収入 | 李(給料・スーパーのパート) | 82,000 |
| 収入合計 | 327,000 | |
| 支出:食費 | 75,000 | |
| 支出:住居費 | 家賃(管理費を含む) | 98,000 |
| 支出:教育費 | 学童・習いごと | 15,000 |
| 支出:生命保険等掛金 | 12,000 | |
| 支出:預貯金 | 毎月の積立 | 60,000 |
| 支出:その他 | 光熱費・通信費・医療費など | 67,000 |
| 支出合計 | 327,000 |
実際の支出と積立額を記入し、合計が合わない場合は、集計漏れや二重計上がないか確認してください。家計簿アプリや通帳の引き落とし履歴を1か月分見直すと、抜けていた費目が見つかりやすくなります。

住宅や車のローンがある人は、支出の「返済金」に毎月の返済額を書き、下の「主な負債」欄に借入の目的・借入先・残額・完済予定を書きます。
その2:資産欄の書き方
- 預貯金:預け先・名義人・金額を書きます。金額は提出する通帳などの現在高で、口座が複数あれば全部書きます。
- 不動産:「在日不動産」と「在外不動産」に分かれていて、日本以外にある不動産も書きます。
- 株券・社債等:種類・評価額・名義人を書きます。
- 高価な動産:おおむね100万円以上のものを書きます。車や貴金属などです。
中国にある銀行口座の書き方など、迷うものは自己判断せず、相談のときに担当者に確認するのがいちばん早いです。
数字は手元の書類とそろえる
東京法務局の「帰化許可申請書に添付する書類(中国の方)」では、直近1か月分の給与明細(または給与証明書)、預貯金通帳の写しや残高証明、賃貸契約書の写しなどを求めています。配偶者など生計を同じくする人の分も必要です。生計の概要の数字は、これらの書類と食い違わないようにしてください。行政書士法人の解説によると面接で家計の支出や貯金・借金について聞かれることもあるので、自分で説明できる数字にしておくと安心です。税金・年金の証明書は「税金・年金の証明書は何年分?」で説明しています。
入力してPDFにするなら
KIKADIYのBasic(6,980円/人)には、生計の概要の作成が含まれています。給与明細と通帳を手元に置いて入力すれば、その1・その2をPDFで出力できます。同じプランで履歴書と親族の概要も作れます。最終的な判断は管轄の法務局です。